ARTWORKS

1995年1月、真夏のオーストラリア。パース、ブルーム、メルボルン、ブリスベンなどの各地を、バックパッカーとして縦横に巡る約二か月間の旅の風景画の一部をまとめたコレクション。都市や自然で、風や空気を感じたそのままを現地で描き後日公開。旅人らしい新鮮な発見と出会いを体験した、臨場感のある旅行風景画スタイルの最初期。

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広い海岸には無数の岩がころがっている一帯があった。たとえばこの岩は少し大きめのベンチくらいあり、人が抱えられるサイズではない。一体どうやってこんなものがここへ運ばれてきたのかと言えば、それはやっぱり波の力で打ち上げたのだろう。それだけでも自然界の驚異ではないか。
ブルームは赤道からも近い熱帯気候でジャングルもあり、近くにはワニ園も。■
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この浜辺に海水浴にやってきた多くの人々が行き来して、たくさんの足跡が残った砂浜を描いた。
現地では夏休みだったこともあり、朝から賑わっていて、真っ赤な水着と水泳帽の屈強なライフセーバーたちが何十人も集まって競技会のようなこともやっていた。それを多くの人と観戦しているのも面白かった。
しかし午後になると強い風が吹いて砂粒が腕や脚にバチバチと当たって痛い程になり、そこは海水浴客どころか監視員たちまでがすっかりいなくなってしまうのだった。■
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電話で予約しておいた民宿は実際にはバンガローみたいなもので、まるで寝台のある狭い物置のようなただの小屋というか、まあ何と言うか、シンプル。
プリンスタウンの中心地はこの絵の場所である。
家庭的なレストランで夕食を済ませて外へ出ると、もうどこにも行く所がなくて、夕闇の道端で呆然としていたら、目の前の小屋の戸口に、ヤギが一頭ロープにつながれているのが見えた。ヤギってロープにつないどくもんなのか、と思っていたらおじいさんがやって来て、聴き取りづらい声で、俺のペットなんだ、と言った。
田舎の暮らしはシンプルなのが良くて自然が身近でその多様さが生活の豊かさに繋がっているのだろうか。都会よりも田舎で生きていけることにこそ、その人の豊かさがあるように思える時がある。■
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